日本一周後の福岡での日常、居酒屋探訪記などを綴ります。

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長崎の繁華街のど真ん中、浜町から思案橋にかけて続くのが当地名所のアーケード商店街国道です。そこから分かれるごく狭い路地に面して建つ風情がまず良いです。端正で情緒ある店構えも秀逸。店内は狭くもなく広過ぎもしない絶妙の大きさで、それでいながら天井が高めで開放感があります。舟を囲む等辺のコの字カウンターの構え、その上に白和えなどの大皿が乗る眺め、卓や椅子など全体的に黒基調のところに臙脂色の座布団を置く上品な色使い。何から何まで心地好く、居心地は抜群です。

滅多にお目にかかれない一番搾りプレミアムの樽生は素晴らしい味わいで、また数あるタネの中でも豆腐が特に美味いときているのだから、おでん屋はどうしても二軒目以降になりがちなところ、二軒目では勿体ないです。実際に過去に一軒目で訪ね、生ビール二杯と豆腐、つみれだけをいただき、少しであることを詫びて席を立ったことがあります。
しかし本当は腰を据えてじっくり味わいたい店です。このあたりが実に悩ましいのです。これは同じくおでんの名店、小倉の「大太鼓」に通じます。実は当店の支店が中洲にあります。前々から気になっているのですが、わざわざ地元で支店を訪ねなくとも、長崎に行った時の楽しみにとっておくのも一案とも思えます。これまた悩ましいところです。
何れにせよ、もう何度か訪ねていますがその度に感動を新たにし、自身の中での魅力と存在感が増していきます。このようなおでん屋がある町に住む人を羨ましく思います。

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四ヶ月半振りに訪ねた長崎の夜、まず足が向いたのはやはりこの店でした。旅先で居酒屋を訪ねる時、それが人気店であるなら、無事に着席できるかどうかが最大の問題となります。開店から七時半くらいまでの「一巡目」の時間帯であるなら、店に向かうのは早いに越したことはありません。が、難しくも面白いのはその後の時間帯です。
早い時間から飲み始めた客が店を出て、二巡目の客を迎え入れる頃になると、早い程よいという理屈は通用しなくなります。むしろ「あと五分遅く来ていれば入れたのに」と悔しい思いをすることがあるのです。満席の店内から先客が出てきて空席が生まれた丁度その時に前を通り掛かれば幸運ですが、数分早かったが故にその好機を逃してしまったというわけです。以前富山の名店「親爺」でこの典型の場面を経験したことがあります。駄目で元々の気持ちで店へ向かったところ、目の前で二人組が出てきて入れ替わりに二席だけ空いたカウンターに首尾よく滑り込んだのです。これも、あと五分早かったら叶わなかったでしょう。

今回安楽子を訪ねたのもこのような微妙な時間帯でした。どきどきしながら暖簾をくぐると、テーブル席は相変わらずの盛況ながら珍しいことにカウンターに先客の姿がありません。これは僥倖と端の席に着こうとすると、真ん中にどうぞとの一声が。少々落ち着きませんが、促されるままに真ん中に着きました。すると直後にやって来た常連風の二人連れが、奥の座敷に案内されるのを嫌ってカウンター席を希望したのです。
私のすぐ隣に座ったので、真ん中の席から一つ奥にずれました。そこはカウンターの一番端から二番目の席です。さらに数分後に独酌の御仁がやって来て、あっという間に虫食いの二つだけの空席になりました。詰めれば座れるものの、もしこれが馴染みの薄い店でこの様子を外から一瞥したら、敬遠して他の店をあたるでしょう。
このようにほんのちょっとした間合い、偶然によって悠々と着席できたり満席御免となってしまったりするのが居酒屋です。目当てとなるのが唯一この店しかないのであれば、面白いなどとも言っていられませんが、長崎のように名店が他に何軒もある町ならばこれも楽しみの一つと思えます。

さてそれはいいのですが、今回も注文したのは毎度お馴染みの三点となってしまいました。刺盛り、げそぬた、すり身揚げです。どれも素晴らしい美味と良心的な値段で欠点が見当たりません。が、大いに満足しつつも、たまには趣向を変えてみたいという贅沢な悩みも生まれます。四ヶ月半振りというのが中途半端なところなのです。もしこれが三ヶ月振りの訪問ならば、一品か二品は変化をつけようと思えるでしょう。一年以上の間が空いていたなら、趣向を変えるという発想はそもそも全く湧いてきません。
次に長崎を訪ねるのは一体いつになるのか。分かりませんが、たまには冒険してみる必要もありそうです。

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久々に夜の鹿児島を訪ねたのは去る8月15日のことでした。盆休みの土曜日です、流石に開いている店は僅かでした。西駅近くの「魚福」にはじまり、「菜菜かまど」「大安」「白鹿」も閉まっていて、打つ手がありません。通りすがりで飛び込んだ一軒目は、可もなく不可もなし。ただし魚の仕入れが僅かだったため売り切れてしまったとのことで、刺身にありつけませんでした。まだ七時半だっただけに残念でしたが、これも盆休みでは仕方のないことでしょう。
こうなると二軒目も全く期待できません。そこで向かったのが、とある若い焼き鳥屋でした。以前、日曜日の五時前という悪条件で天文館を訪ねたことがあります。開いている店がほぼ全くない状況で、暖簾を掲げる孤高のその存在に救われたのでした。似たようなこの日、あの時の礼も兼ねて訪ねるのはそこしかないと、真っ直ぐ向かったのです。

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ところが、そのすぐ近くにあった店の佇まいに思わず釘付けになりました。一目でそれと分かる、老舗だけが持つ気配を纏っています。どうしてこれまでこの店の存在に気付かなかったのか。たまたま閉まっている時にだけ前を通ったのだろうか。そんなことを考えながら、目当てにしていた焼き鳥屋には申し訳ないと思いつつも、気付けば中に吸い込まれていました。それがこの丸万です。
創業五十八年。鶏もも焼きの専門店です。他には鶏皮やたたきなどもありますが、全部で十品にも満たずごく簡潔な品書きがたいへん好印象です。先客も皆一心に当店名物のもも焼きにかぶりついています。店内はがらんとしていて素っ気なく、どこか殺風景です。しかし余計なものをごちゃごちゃと置くより遥かに良く、品書きの潔さにそのまま通じます。
もも焼きは骨付きのものと切り分けてくれるものが選べるようで、初めにどちらにするか訊かれました。初めてでしたが、ここは迷わず骨付きを希望しました。鋏を添えて出されるのが印象的です。最大の特徴は、骨に近い部分が生に近いレア焼きになっていることです。これは噛み切るのがなかなか難しく、味わいの部分でも香ばしく焼かれた外側とはまるで違い、一度に二つの味を楽しめるという寸法です。大きなもも焼きは食べるのにそれなりの時間がかかります。途中で女将から声がかかり、軽く炙って温め返してくれるのも当店ならではの流儀です。このあたりが老舗独特の味わいです。

繰り返しますが、どうしてこの店の存在にこれまで気付かなかったのか、我ながら不思議でなりません。切り分けのもも焼きも試してみたいし、たたきも大いに気になります。次に鹿児島に行く機会があったなら、一軒目に鶏料理の店に入らない限り、二軒目はこの店の再訪で決まりでしょう。

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岡山駅からすぐ近くにあるこの店、大人気の繁盛店と聞いていました。17時半前に入ると既にカウンターの九割方が埋まっており、テーブル席に通されるという顛末です。噂に違わぬ盛況に気圧されつつ品書きを手に取ると、目に飛び込んできたのは屋号に並んで記された「駅前大衆居酒屋」の文字でした。居酒屋に不可欠な健全さ、虚飾のなさ、明快さ、潔さが瞬時に伝わってきて、たいへん好印象です。
生ビールを飲みつつ、壁に掲げられた手書きの本日のおすすめと手元の品書きを交互に眺めます。その結果分かったのは、屋号に鳥の字があるものの、鶏料理だけでなく魚介にも力を入れているということです。折角瀬戸内に来たのだからと、まず鰆のたたきを所望しました。それから「名物」の字が添えられたとり酢です。どちらも絶品でした。鰆はネタも仕事も文句なし、分量も気前が良く、これで六百円とはお得です。しかしとり酢にはさらなる衝撃を受けました。柔らかく肉厚の食感も良いですが、何といってもタレの味が素晴らしいのです。上品で柔らかく豊かな味で、このようなひたひたにタレをかけた小鉢の料理は、段々と味がきつくなって後半に飽きてくるものも多いですが、これは最後の最後まで美味く食べられます。しかもたったの二百円とは恐れ入りました。とり酢に感動しただけに、焼き鳥の味には残念を通り越して疑問すら抱きました。ネタの大きさや厚みも貧弱だし、焼き過ぎて固いし、おまけに塩胡椒がきつ過ぎて無闇に辛いだけなのです。
しかし初見で膨大な数の品書きのごく一部を試したに過ぎません。鰆ととり酢の素晴らしい美味からすれば、焼き鳥を抜きにしても十分に満足のいく組み立てができるでしょう。地酒も各種取り揃え、一合四百円から六百円と良心的な価格です。

そしてあしらいにも感心しました。カウンターが九割方埋まっていたと言いました。全ては埋まっていなかったということです。そして私の後にやって来た御老人が、虫食いに空いていた狭間の一席に通されたのです。実は私の通されたテーブル席、四辺のうちの短辺の一つには簡易的な椅子が据え付けられていて、そこに「荷物置き」と書かれていたのです。カウンターに着けなかったのは残念でしたが、リュックをからっていたのでこれを有り難くも思っていました。これに対してこの御老人は手ぶらでした。私が居酒屋を訪ねるにしてはやや大荷物だったのを見て、即座にこのテーブルに案内してくれたのでしょう。
安く、美味く、潔く、駅のすぐ近くで、細やかな気配りに打てば響くあしらい。大盛況も納得の素晴らしい大衆酒場でした。もしまた四国に足を運ぶ機会があるなら、すぐに新幹線に乗り継ぐのではなく、この店を訪ねるために時間を捻出したいと思います。

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この店との最初の出会いは偶然、というか消去法によるものでした。先の日本一周の道中、高知で何日か世話になった安宿が目と鼻の先にありました。この辺りは表通りから少し入った所に小さいながらも品の良い店が散在しており、良い雰囲気です。ただしこのおおいは外見から訴えてくるものはなく、同好の旧友が高評価している店がすぐ近くにあったこともあり、初めは素通りしていました。しかし他の店はいまひとつ自分の好みには合わなかったり、常に予約で一杯で入れなかったりしました。そのようにして何日目かにして漸くこの店の暖簾をくぐったのです。ところが四席しかないカウンターは全て埋まっていて、満席御免でした。
このように初めて訪ねた時に満席で入れなかった店というのは、どうも再訪しづらいものだし、縁が無かったと思って以後足を運ばないことも少なくありません。ところがこの店は、後日再挑戦して必ず入ってみたいと思ったのです。その鍵は匂いでした。戸を開けて中に入り、満席を詫びられて辞去するまでの数十秒の間に、店内に漂う匂いの素晴らしさに、本物の料理を出す店だと直感したのです。幸いなことにすぐに再訪の機会がやって来たわけですが、果たしてその直感は間違っていませんでした。

鰹やうつぼなど当地名物の魚介が絶品なのは言わずもがな、大皿に盛られてカウンターの上で待機する惣菜が非の打ち所がないのです。中でも春菊の白和えには参りました。春菊の苦味とおからの柔らかい風味、白胡麻の甘味が三位一体となってそのバランスも完璧。味、香り、食感、見た目全てが秀逸です。白和えにこれだけの仕事をするのですから、他の料理の美味さも推して知るべし。ここまで質の高い料理を良心的な居酒屋価格で出す、このような店は、京都以外では神戸の「藤原」、長崎の「こいそ」、奄美大島の「喜多八」しか知りません。
料理だけではありません。主人一人で調理していることが信じられないくらい品数が多いのです。ここまで多い必要があるのか、と思いますが、この店で料理を待たされたことは一度もありません。真の一流の料理人は味の良さだけでなく、多くの仕事を速くこなすと聞きます。ならば当店の主人こそは真の一流でしょう。それでいながら奢ったり偏屈なところが一切なく、明朗で愛想が良いのです。女将のあしらいもまさに絶妙で、居心地の面でも満点です。
完璧な居酒屋など存在しません。この店にも粗、弱点はあります。まず生ビールがスーパードライであること、これは実に残念です。エビスの樽生を置いているなら、これ程似合う店もないと思うのですが。酒も然りで、それなりの数を置いてはいるのですが、無闇に辛いだけの酒ばかりなのです。かように唯一、酒については残念なところもありますが、それを補って余りある魅力があります。これだけ多くの名店が集まっている高知で、次もまた予約をしていの一番に訪ねたいと思わせるのは凄いことです。
忘れていましたが、客層も良いときているのだから恐れ入ります。それを象徴する印象的な場面と出会いました。長くなってきたのでそれについてはまた後日…

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