まず天気だが、一日目と二日目でまさに明と暗だった。一日目は快晴で、関東平野は何処まで行っても桜と菜の花が満開だった。中でも高崎から水上へ至る列車の車窓は、近景の桜や菜の花の向こうに雪を戴いた谷川岳が徐々に大きく迫ってくるという絶景だった。一方で二日目は朝から雨となった。只見線や磐越西線の山岳区間の景色は雨も似合うし、喜多方の町なども同様なのでそれ自体はいいのだが、よりにもよって喜多方でラーメンを食べてから駅の方へ戻ろうという時になって強風が吹き始めた。飲食店の店先の看板が倒れたり、暖簾が暴れて乾いた音を立てながら戸とぶつかる様が心配になる程の風で、なす術も無く全身で濡れてしまった。その中を折り畳み傘を両手でしっかり握り締めながら歩いて行くのはさながら苦行で、久し振りに心が挫けそうになる程の辛苦を味わったと言っていい。

活動について言えば、水上から長岡の区間でE129系なる新型車両がやって来たのが何といっても衝撃だった。701系や209系と同類の、張りぼてのような粗悪な車両である。兎にも角にも乗り心地が悪く、特に痙攣のような小刻みな揺れが断続的に続き、それに下半身から腹部を揺さぶられるので気持ちが悪くなってくる。奇しくも今回、古めかしい鋼鉄車両とこれとを交互に乗り比べることとなったわけだが、数十年間も使用されてきた車両にこのような悪癖が無いことを改めて確認した。車体や台車、そして各部の取り付けの剛性がいかに低いか、いかに安物であるかがよく分かる。
このような安物だから、車内放送もやけに耳障りに響く。そしてその内容は無表情な自動音声による案内である。英語などを交えるものだから簡潔さを欠いてだらだらと長く続き、実に鬱陶しい。都心の通勤車両で短時間の乗車ならばそれもまだ許せるが、こんなものに乗って上越国境を越えるのかと思ったら心底うんざりした気分になった。水上を出て最初の駅は湯檜曽である。下りホームは長大な新清水トンネルに入ってすぐの所にあり真っ暗だ。一方で上りホームからは自分が走ってきたループ線を向かいの山腹に見るという不思議な光景を望む。土合は言わずもがな、他にもこの区間の鉄道施設は一様に古くて無骨で独特の雰囲気を持っており、こんな紙細工のような軽薄な車両はまったく似合わない。
只見線、磐越西線ではキハ40系気動車への乗車を楽しむことが出来たが、これとていつまでも安泰とは言えない。只見線の二両編成は一両が全ロングシートに改造されていて、その車内は見るだに殺風景で興醒めだった。その辺りの事に余り関心が無さそうな地元の高校生や老人達も皆クロスシート車に乗っていて、ロングシート車に誰も乗っていないのは印象的な光景だった。
居酒屋に関しても、今回は戦果が芳しいとは言えない。まずは今回の一軒目に選んだ会津若松は鳥益。教祖の「居酒屋味酒覧」でも第三版になって初めてとり上げられた店だが、籠太、鳥玄、麦とろと同列に語れる程の名店とは言えない。確かに鳥もつの煮込みや焼き鳥など、鶏の料理は美味い。だが、これは初訪問の時にも感じたことだが料理が出てくるのにどうにも時間がかかる。料理だけでなく、大店とはいえ給仕の女性が四人も五人も働いているというのに、最初の生ビールが運ばれてくるまでに数分も待った。そして何より刺盛りが酷かった。鶏料理が中心とはいえおすすめのビラには魚介の名も並び、こちらにも力を入れているのが分かる。だが驚いたことに刺盛りは一目でそれと分かる冷凍物の鮪や蛸が並べられたもので、今時安チェーンの居酒屋でも見ないような代物だった。味については推して知るべし。おすすめビラの中央にあった走りの鰺のたたきはもちろん乗っていない。まともな店であればそもそも刺身の盛り合わせというのは「良いとこ取り」の一皿だ。それに対してこれは誠実な仕事とは言い難い。
二日目の長岡では満を持して魚仙を訪ねたが、半ば覚悟はしていたもののやはり端境期であることを思い知らされた。刺盛りの舟には鰤、鯖、ホタルイカ、鰆などが同居しており、むしろ今の時季にそれぞれよくこれだけのものを、とこの店の実力を再確認することともなったが、しかし感動する程鮮烈なネタはなく、四番不在、いやクリーンアップ不在の打線のようだった。
ラーメンについては、坂内食堂と、何故か大安食堂も休みだったのは残念だったが、ひさじ屋の感動的に美味なチャーシューが健在だったのには胸を撫で下ろした。
そして余談だが、今だからこそ言えることがある。実は喜多方でラーメンを食べるか、ラーメン二郎の会津若松駅前店で食べるかぎりぎりまで迷っていたのだ。只見線の列車で折り返して会津若松に到着したのが1034のこと。二郎は駅のすぐ近くで、並び始めて開店20分前というまさに絶妙な時刻だった。こんな遠隔地の二郎で食べる機会など滅多にないし、新しい二郎は美味いという法則がある。会津若松駅のホームに下り立ってまだ迷っていたくらいだったが、結局はここまで来て二郎というのも虚しいという思いが勝って11時発の列車で喜多方へ向かったのだ。だが若松の二郎で食べていればずぶ濡れにならずに済んだだろう。

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活動について言えば、水上から長岡の区間でE129系なる新型車両がやって来たのが何といっても衝撃だった。701系や209系と同類の、張りぼてのような粗悪な車両である。兎にも角にも乗り心地が悪く、特に痙攣のような小刻みな揺れが断続的に続き、それに下半身から腹部を揺さぶられるので気持ちが悪くなってくる。奇しくも今回、古めかしい鋼鉄車両とこれとを交互に乗り比べることとなったわけだが、数十年間も使用されてきた車両にこのような悪癖が無いことを改めて確認した。車体や台車、そして各部の取り付けの剛性がいかに低いか、いかに安物であるかがよく分かる。
このような安物だから、車内放送もやけに耳障りに響く。そしてその内容は無表情な自動音声による案内である。英語などを交えるものだから簡潔さを欠いてだらだらと長く続き、実に鬱陶しい。都心の通勤車両で短時間の乗車ならばそれもまだ許せるが、こんなものに乗って上越国境を越えるのかと思ったら心底うんざりした気分になった。水上を出て最初の駅は湯檜曽である。下りホームは長大な新清水トンネルに入ってすぐの所にあり真っ暗だ。一方で上りホームからは自分が走ってきたループ線を向かいの山腹に見るという不思議な光景を望む。土合は言わずもがな、他にもこの区間の鉄道施設は一様に古くて無骨で独特の雰囲気を持っており、こんな紙細工のような軽薄な車両はまったく似合わない。
只見線、磐越西線ではキハ40系気動車への乗車を楽しむことが出来たが、これとていつまでも安泰とは言えない。只見線の二両編成は一両が全ロングシートに改造されていて、その車内は見るだに殺風景で興醒めだった。その辺りの事に余り関心が無さそうな地元の高校生や老人達も皆クロスシート車に乗っていて、ロングシート車に誰も乗っていないのは印象的な光景だった。
居酒屋に関しても、今回は戦果が芳しいとは言えない。まずは今回の一軒目に選んだ会津若松は鳥益。教祖の「居酒屋味酒覧」でも第三版になって初めてとり上げられた店だが、籠太、鳥玄、麦とろと同列に語れる程の名店とは言えない。確かに鳥もつの煮込みや焼き鳥など、鶏の料理は美味い。だが、これは初訪問の時にも感じたことだが料理が出てくるのにどうにも時間がかかる。料理だけでなく、大店とはいえ給仕の女性が四人も五人も働いているというのに、最初の生ビールが運ばれてくるまでに数分も待った。そして何より刺盛りが酷かった。鶏料理が中心とはいえおすすめのビラには魚介の名も並び、こちらにも力を入れているのが分かる。だが驚いたことに刺盛りは一目でそれと分かる冷凍物の鮪や蛸が並べられたもので、今時安チェーンの居酒屋でも見ないような代物だった。味については推して知るべし。おすすめビラの中央にあった走りの鰺のたたきはもちろん乗っていない。まともな店であればそもそも刺身の盛り合わせというのは「良いとこ取り」の一皿だ。それに対してこれは誠実な仕事とは言い難い。
二日目の長岡では満を持して魚仙を訪ねたが、半ば覚悟はしていたもののやはり端境期であることを思い知らされた。刺盛りの舟には鰤、鯖、ホタルイカ、鰆などが同居しており、むしろ今の時季にそれぞれよくこれだけのものを、とこの店の実力を再確認することともなったが、しかし感動する程鮮烈なネタはなく、四番不在、いやクリーンアップ不在の打線のようだった。
ラーメンについては、坂内食堂と、何故か大安食堂も休みだったのは残念だったが、ひさじ屋の感動的に美味なチャーシューが健在だったのには胸を撫で下ろした。
そして余談だが、今だからこそ言えることがある。実は喜多方でラーメンを食べるか、ラーメン二郎の会津若松駅前店で食べるかぎりぎりまで迷っていたのだ。只見線の列車で折り返して会津若松に到着したのが1034のこと。二郎は駅のすぐ近くで、並び始めて開店20分前というまさに絶妙な時刻だった。こんな遠隔地の二郎で食べる機会など滅多にないし、新しい二郎は美味いという法則がある。会津若松駅のホームに下り立ってまだ迷っていたくらいだったが、結局はここまで来て二郎というのも虚しいという思いが勝って11時発の列車で喜多方へ向かったのだ。だが若松の二郎で食べていればずぶ濡れにならずに済んだだろう。

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越後湯沢で上越新幹線の上り最終列車に乗り継ぎます。最後の最後に青春18切符の二日分よりも高い料金を払って新幹線に乗るのは一貫性が無い、本末転倒だとも感じられるが、そもそも本活動自体がそんな程度のものだし、本人が納得しているからこれでいいのだ。往路と同じように普通列車で上越国境を越えて帰ろうとすると、長岡を実に16時半には出なければならない。魚仙で飲む時間どころか、全く違った旅程を組まなければならないのだ。そしてこの区間は国内の新幹線網の中でもとりわけ普通列車に対する速達性が高い区間でもある。
列車は予想のとおりがらがらに空いていた。自由席は7両用意されていて、私の乗った12号車下階の乗客は僅かに三人だった。だだっ広くて無骨な感じの越後湯沢駅の構内が静まり返り、そこに自分の足音だけが響くのも味があってよい。
350C「MAXとき350号」越後湯沢2224~大宮2314

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