日本一周後の福岡での日常、居酒屋探訪記などを綴ります。

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いよいよ船は出港し、ぐんぐん岸から離れてゆく。
しかし見送りが終わったわけではない。

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色々なショップや民宿の船が何隻も全速力で伴走してくるのだ。もちろんYHの面々も船で追ってくる。
ちなみに写真には写っていないが、警察の船も安全確保のため伴走している。

距離を詰めてぴったり伴走する船からは声を揃えて「いってらっしゃ~い!」と見送りの言葉が。
「いってきま~す!」とこちらも大声で応える。
旅情のある光景、というのはえてして静的なものだが、ここまで動的でこんなにも旅情に満ちた光景はそうそうない。

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圧巻は最後である。
一体もう何km伴走してきたのだろう。船の速度も相当上がり、もう外海も近い。そこまできて最後に見送りの飛び込みである。海面から手を振る皆にもう一度ありったけの声で全員揃えて「いってきま~す!」と叫んだ。

船の見送り、それは島の人達にとって週に一度の、島で最大の行事なのだ。
小笠原には空港がない。
すべての物資はこのおがさわら丸と、共勝丸という小さな貨物船によって本土から運ばれてくる(この共勝丸にガソリンなどが載せられてくる)。島で生まれ育ち、長いこと島で暮らしている人でさえも、船が出港していくと毎度言い知れぬ寂しさに襲われる、と言う。そんな寂しさを紛らわすためもあるのか、と考えると、このばか騒ぎにも似たど派手な見送りにも離島で暮らすということの厳しさと寂しさを感じずにはいられなかった。





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港の鯨の像の前で記念撮影して、いよいよ帰りの船に乗る時がやって来た。
そして港では船の見送りが凄い。

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乗船が始まると太鼓が打ち鳴らされる。

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旗を掲げて見送ってくれるのはYHのお約束。

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埠頭はこの賑わいである。島に住んでいる人全員が来てるんじゃないか、などと思ってしまう(笑)
それにしても結局小笠原の陽射しと海の色を知らないまま帰ることになってしまった。そうそう簡単に来れる場所ではないが、絶対に再訪しなければならない場所である。





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四日目の朝は、再び父島YHの朝食を頂いた。いよいよ帰りのおがさわら丸に乗って島を離れなければならない。
とりあえず出港は午後2時なので、午前中一杯は遊ぶことができた。

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とはいっても最終日も朝から雨orz
同宿の何人かで「海洋センター」というところへ行ってみた。Tシャツ一枚にサンダル履きという格好でバスに乗ってゆく。
ここでは沢山の海亀が飼育されていて、また海亀に関するあらゆることが展示されていて勉強することができ、なかなか楽しかった。一時間くらい見学した。

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帰りはのんびりぶらぶらと歩いて戻り、港の近くの商店で帰りの船の中で食べる食材を調達。
旅慣れている人だったら長距離フェリーに乗る際はスーパーなどで食材を買いだしてから乗船するのは常識だが、小笠原では何でも高いのでそれほど割安感は感じられない。それでも船のレストランで食事をするよりはずっといい。島寿司やパン、カップラーメンなどを購入。

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小笠原の履き物といえば何といってもこのぎょさんである。
買おうかどうかかなり迷ったが、サンダルは持ってきていたし結構高いのでやめた。しかしこんな色とりどりのぎょさんというのは他ではなかなか売られていなくて、やっぱりどうせなら買えばよかった。





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母島から父島へ戻る船の中で、私は迷いに迷っていた。
今後のことである。
小笠原旅行に来る前の3月一杯で職場を辞め、転職しようとしていたが一番行きたかった会社には採用してもらえなかった。それで4月に入っても日にちがあったわけだが、そんな中なんと東京から遥か離れた母島に居る時におさえで面接を受けた会社から採用の電話がかかってきたのだ。
面接を受けてみたものの、本当にその会社に入ってそれでいいのだろうか?という迷いはもちろんあった。

そしてもう一つ、そのこととは別に常に頭の中にあるものがあった。旅への思いだった。
ずっと長いこと、子供の頃からやりたいと思い続けてきた日本一周である。それも、やるとしたら絶対に原付のスーパーカブで行きたいというのがあった。もちろんそうなったらひと月やふた月の旅ではない。最低でも一年の単位で考えなければならない旅になる。
やるなら今しかない。
けれどそれはそれで、やはり本当にいいのかという迷いがある。とりあえず一週間は時間ができた、じゃあ小笠原にでも行ってこよう、というのとは違って、軽々しく決められる事ではないのだ。

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父島に戻り、YHで体を休めても尚迷い続ける私を、お別れパーティーが待っていた。
そう、明日はもう船に乗って東京に帰らなければならないのだ。
豪華絢爛とまではいかないが、島の食材を沢山使った温かい手作りの料理の数々がテーブルを埋め尽くした。島のトマトは欧州のトマトのように濃厚でコクがあり、これで作ったパスタソースは絶品。またサワラをヅケにしたものを握る島寿司も小笠原ならではのものだ。
そして一通り飲食が落ち着いたところで、いよいよYH名物の「お別れミーティング」が始まった。

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島に伝わる別れの歌は明るい歌で、ペアレントさんが軽やかに歌う。地元の中学生くらいの女の子が島の伝統の踊りを披露しにわざわざやって来てくれた。踊りを乗せる歌は、島で知り合った若い男女が恋に落ち、新婚旅行で小笠原に戻って来るという歌詞だった。
そして圧巻は最後だった。
全員が輪になり、ペアレントさんのギターに合わせて一人一人のニックネームを当てはめた別れの歌を人数の回数だけ歌った。サビの部分で「私の好きな〇〇へ~」となる。細かいところは覚えていないが、この島で出会えたことを感謝する、そしてどこかでまたきっと会いましょう、そんな歌詞だったと思う。

この歌は強烈に私の旅心を揺さぶった。
いや正確にはこの歌が、ではない。この歌を歌っている今、この人達、この集まり、この空間、この場が、こんな場が、こんな世界が、こんな文化があったなんて。
遥か1,000kmの彼方、大海原を隔てたこんな遠くのこんな小さな島で、人と人が出会ってまた別れてゆく。それは何か。どういうことなのか。旅とは…
旅というものの強烈な香りが、風が、核がこのYHのミーティングとこの歌に凝縮されているような気がして、私は眩暈がする思いでとても歌い続けることができなかった。
そして気付くと私は涙を流していた。それは、お別れパーティーの感傷ではもちろんない。感動で魂の核が揺さぶられ、自分でも気が付かないうちに透明感のある涙が頬を滑り落ちていたのだ。

このYHで一番意気投合したコバちゃんに向かって、日本一周の道中で彼の故郷である小豆島を訪れると約束した。
そしてこの一ヵ月後、私はスーパーカブに跨って日本一周の旅に出発することになる。
この夜のYHのパーティーがなかったら、或いはそれはなかったかも知れない。





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レンタバイク改めレンタカーで早速母島を一周する。ところが、土砂降りの雨の中進んでもちっとも面白くない。
母島はもともと見所らしい見所というのはそう多くはなく、素晴らしい自然を楽しむようなところ。しかし亜熱帯の森も、崖の上から見下ろす海も、この天気ではどうしようもない。結局一応は一通り走りました、というだけの結果になってしまった。
母島って、一体次に来る機会はあるのだろうか?あったとしてもそれはいつのこと?ひどすぎる…

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母島のYH。非常に洒落た建物で、中もいかにもきれいそう。もし次に小笠原に来る機会があったら母島にも泊まってみたいものだ。

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とある土産物屋の店頭にあった、石で作られたザトウクジラの像。素晴らしい!

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鬱蒼とした亜熱帯の森の中を往く。
母島は非常に起伏に富んだ地形で、坂が凄い。島の西岸は切り立った断崖の上から遥か眼下に海を見下ろす。晴れていたらさぞかし美しかったことだろう。

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かつては島の北端にも集落があったそうだ。港や集落、小学校の跡などが僅かに残る。しかし学校の跡などもはや深い森に没しようとしている。

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母島の道路の最南端。
母島に来る前は帰りの船の時間までに満喫できるだろうか、と思っていたが、こんな天候の中をただ走っただけで、結局早めに車を返して港で船が出るのを待つありさまだった。

そして母島を車で走っている間、一週間ほど前に面接に行った会社から一本の電話がかかってきた。採用の通知だった。
実は小笠原旅行に来る少し前、転職すべく幾つかの会社の面接に行ったのだが、一番入りたかった会社は不採用だったのだ。こんな時に別の会社から電話がくるとは。
そしてこの電話とこの日の夜のYHのパーティーが私の人生を大きく変えることになる…





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