日本一周後の福岡での日常、居酒屋探訪記などを綴ります。

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皇居に臨む東京駅の丸の内口が開業当時の姿に復元され華々しくお披露目されたが、反対側の八重洲口はなんとも対照的だ。高層ビルが建ち並び、駅前はひたすら一直線にバスの列とタクシーの列。無機質にして無愛想、改札を出た瞬間まるで後ろから「はいはいあなたの乗るバスはどれ?早く乗った乗った」と急かされているように感じてしまう。
そんな八重洲口だが、意外にも少し歩くだけで庶民的な飲み屋街が広がっていたりする。

「ふくべ」はそんな一角にある。
暖簾をくぐってまず目を奪われるのは長年使い込まれ燻されてきた柱やカウンターの深い艶だ。決して立派な建物、立派な調度ではないが、木でしっかりと造られたものが永い年月磨かれてきて放つ鈍い焦げ茶色の艶は何物にも代え難い。
ずらりと品書きに並ぶ日本酒から何を選んでもいいが、ここへ来たなら是非ともカウンターに座り、酒は燗でいただきたい。酒はまず徳利に大きな漏斗を差し込み、その漏斗の中に枡を構え、そこへ一升瓶からきっちり正一合なみなみが注がれる。そしてその枡が漏斗の中でくるりと一回転して中の酒が徳利へ注がれた後、十二連の燗付け器へ移される。

肴はしめ鯖やぬた、くさやなど。どれも出過ぎず酒を引き立て、またいかにも東京の飲み屋らしい物が揃い文句がない。しかし、やはり最高の肴は何といっても枡のくるりから徳利に酒が注がれる親方の手の動きだろう。こいつを眺めているだけで一合は軽くいける。
横須賀は「中央酒場」のホッピージョッキを並べて氷を投入していく様しかり、北千住は「大はし」の親仁さんの舞いしかり、仙台は「源氏」の女将さんが割烹着姿で燗付け器の上から酒を注ぎ入れる姿しかり、名酒場にはこのようなアテになる名人芸が付き物だが、中でもこのふくべの"枡くるり正一合"に止めを刺す。その枡は角が磨り減って美しい丸味を帯びている。
屋号には「通人の酒席」の文句が添えられている。普通、余程のものでない限りは自らそんな事を名乗られると反発してしまうものだが、このふくべの創業七十年を経た重厚な店内の佇まいや、軽快な親方の妙技、静かに酒を楽しみに来ている者だけが集う客席の雰囲気、そして何より酒の美味さを味わったら、誰も文句を言う者はいない筈だ。奥に鎮座する菊正宗の樽の上には"先代の枡"が飾られている。



ふくべ 通人の酒席
03-3271-6065
東京都中央区八重洲1-4-5
16:30~21:30(LO)
第二土、日祝休





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