日本一周後の福岡での日常、居酒屋探訪記などを綴ります。

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内外ともに古式ゆかしい正統的な居酒屋の佇まいだが、この店において特筆すべきは何といってもその立地だろう。秋葉原駅からほど近く、多くの人が今現在の秋葉原の光景として思い浮かべるであろうまさにその只中にある。
この写真の右端に「メイド」が写り込んでいるのが分かるだろうか。しかも、ただメイドが立っているだけではない。癖がやたらと強いどうにも好きになれない口調で「萌え萌えきゅーん」という声が響き渡っているのだ。それも拡声器を介した大音量で。さらには、少々分かりづらいかも知れないが、メイドの右側に写り込んでいる男性は小太りでチェック柄のシャツを着て小さなリュックをからっており、その容姿は典型的な「オタク」だった。

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そんな中に、黒塀の上に扁額を仰ぐこの重厚な一軒家が佇んでいるのだから、これは世界中でもここでしか見られない不思議な光景だろう。そもそも和風建築の戸建てが周囲を見渡してもここしかない。
暖簾をくぐると真正面にほぼ正方形に近いコの字カウンターが待ち構える。厨房は客席とは隔離されて奥にあり、コの字に囲われた島には生ビールのサーバーと冷蔵庫、そして燗付け器が置かれる。この雰囲気がまず素晴らしい。カウンター、卓、衝立、柱に至るまで木でできていて、それぞれは上等な物というわけではないのだが、使い込まれた艶に趣きがある。
燗酒は枡と漏斗を使って正一合が白磁の徳利に注がれ、蛇の目の猪口と共に供される。肴の一番人気は鶏もつの煮込み。もつ煮を謳ってはいるがむしろ身と皮の部分が多く入っている。この皮が絶品だ。歯応え、味わい、香りどれも良いが、独特のコクを鍋全体に与えている。
えんえんと繰り返して再生される「萌え萌えきゅーん」が微かに店内にも届き、初めのうちはそれを耳障りにも思っていたが、この店はそんなものにまるで構わないとばかりの超然とした気配に満ちている。そこに身を置いているとやがて自分自身もまったく気にならなくなってくる。

かように素晴らしい店なのだが、唯一残念だったのは生ビールが美味くなかったことだ。僅かながら嫌な匂いがした。これは多くの場合考えられる理由として、ジョッキの洗い方が良くないか、回転が極端に悪いか、サーバーの清掃が不十分なことがある。客の年齢層からしても、生ビールが余り出ないのだろう。実際のところ瓶ビールを注文する客の方が多く、黒ラベル、一番搾り、スーパードライの三種もが置かれている。瓶ビールの方が主力なのは明らかで、またこれらを好む向きの多くは銘柄がどうというよりは「キリン」「アサヒ」「サッポロ」から自由に選べるということに贅沢を感じるようだ。
話が少々逸れてしまったが、そんな欠点を補って余りあるものがここにはある。とにかく佇まい、雰囲気が素晴らしく、この店の存在それ自体が絶大な価値である。そもそもここで飲むべきは生ビールよりも燗酒なのだ。周辺には若くて威勢の良い店、安い立ち飲み屋なども無数にある。私のような生ビール愛好家はそういったところで二、三杯やってからここへ来るのがいいのかも知れない。



赤津加
03-3251-2585
東京都千代田区外神田1-10-2
11:30~13:30、17:00~22:30
日祝、土曜隔週休





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