
佐伯という小さな町では居酒屋には期待できない。このようなことを述べたわけですが、非礼を詫びなければならないようです。思ったよりも賑やかな飲み屋街があり、小ぢんまりした居酒屋らしい好ましい佇まいの店も何軒かありました。しかし往来から中の様子が窺える店がありません。例によってぐるぐると歩き回り、二周したところで意を決して入ることにしたのが当店でした。屋号の脇には活魚割烹の文字があり、値段が高いかも知れないという恐れはありました。しかし佐伯に泊まるのは人生で最初で最後の機会かも知れません。ならばここは金の遣いどころでしょう。そう思い決心したのでした。その心構えが報われたのか、良心的な値付けのたいへん良い店でした。
奥に広い大店で、座敷に大人数を招くのが主な商売のように見えます。しかし決して一人客を軽視することなく、親切丁寧なあしらいを受けました。それどころか入ってすぐの所に六席あるカウンターは特等席でした。目の前に巨大な生簀が幾つもあるのです。伊勢海老と車海老がいて足元には河豚が泳ぎ、何とも壮観です。刺身の盛り合わせは五品が二切れないし三切れ乗って1,500円と良心的です。味の良さは言うまでもないでしょう。他に何かあてになるものを、と希望すると、河豚の皮の和え物をすすめてくれました。一人で食べるにはやや分量が多いですが、たっぷり盛られて800円とこれまた良心的です。勘所をおさえた酒の進む味付けも良いです。
初めて訪ねた町の飲み屋街でいきなりこのような名店にあたるとは幸運でした。

にほんブログ村

にほんブログ村

↑ ↑ ↑
ランキングに参加しています。ぜひ三つのバナーをそれぞれクリックして下さい。よろしくお願いします!