
九州最大の繁華街は福岡天神ですが、繁華街と飲み屋街は必ずしも同義ではありません。福岡の町は広範囲にわたって店が散在していて、飲み屋だけがひたすら集まった凝縮感のある「飲み屋街」がないのです。この点においては小倉の方が上であり、鹿児島は天文館も同様です。天文館は酒呑みの心躍る飲み屋街ですが、西駅からやや離れているのが難点です。離れているといっても歩いて二十分程ですが、滞在時間に制約がある時にはもどかしく感じられる距離です。西駅の近くの良い居酒屋というのは継続的におさえておかなくてはいけない大事な存在なのです。
以前は「魚福」がこれにあてはまったのですが、最後に訪ねた二年前、とんでもない刺身を出されて様変わりを嘆いたことは報告した通りです。名店の閉業が相次ぎ壊滅的な状況に陥った天文館の立て直しも急務ですが、ひとまずは「しゅるり」という新進の名店を見付けました。西駅近くの新たな発掘はより急務でした。そこに今回運よく出会ったのが当店です。
暖簾には屋号の脇に漁師居酒屋の文字、壁には大漁旗。明快な構えがまず好印象です。何より良いのは、外からカウンター席の様子がはっきり窺えること。これは独酌にはたいへん有り難いのです。刺身はたいへん美味で値段も良心的。こうなると良い酒を飲みたくなるところですが、品揃えがいまひとつです。余所だったら物足りなく感じるところですが、ここは鹿児島。多くの焼酎が品書きを埋め尽くしますが、店のおすすめにあたる位置に見たことのない銘柄が並ぶのが印象的でした。聞けばまだ若い主人は種子島出身だそうで、種子島の焼酎を多く揃えていたのです。そんな主人は京都で料理修行をした経験もあり、魚についても酒についても詳しく分かり易く教えてくれます。このような蘊蓄をあてに飲む酒は最高です。
西駅から歩いて僅か数分。この店を見付けたのは大きな収穫でした。

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